職場でも、家族の中でも、たまにいますよね。「え、そこ怒る?」と感じてしまう、感情の起伏が激しい人。こちらは冷静に話しているつもりでも、急に語気を強めてきたり、理不尽にイラつかれたり。そういう瞬間に、こちらの心もぐっと重たくなってしまいます。

私自身、以前は「できるだけ関わらないように」と距離を取ることでバランスを取ろうとしていました。でも社会の中で生きていく以上、完全に避けるのは難しいもの。だからこそ最近は、なるべく自分が消耗しないための“受け止め方”や“コミュニケーションの工夫”に目を向けるようになりました。

怒りは「その人の問題」だと切り分ける

すぐ怒る人と関わっていると、「私が悪かったのかな?」と自責モードに入りがち。でも、冷静に考えると、同じことを別の人に言っても怒られなかったりしますよね。つまり、怒りのスイッチは相手の内側にあることがほとんど。

心理学では、怒りは「二次感情」と呼ばれていて、その奥には不安や不満、寂しさ、無力感などが隠れているとされています。つまり、怒っている人は、実は他の感情をうまく表現できずに“怒り”という形で噴き出してしまっているだけなんです。

“誰かの怒りは、あなたの責任ではない。”

― 境界線を意識することで心の距離が保てる

こうした理解があると、少しだけ気持ちが楽になります。相手の怒りを「私のせいだ」と抱え込むのではなく、「今この人は、自分の中の何かを処理できていないんだな」と客観的に捉えること。もちろんそれだけで完全にストレスフリーにはなりませんが、少なくとも不要な罪悪感を手放す一歩になります。

感情の波にのまれない“間”の取り方

怒りが爆発している場面では、とにかく“間をとる”ことが大切。相手のテンションに合わせて反論したり、焦って謝ったりすると、ますます感情の火に油を注いでしまうことがあります。

そんなときは、深呼吸を一つ。あえて返事を一拍おいてからするだけでも、空気が少し変わります。私のおすすめは「一回、飲み込む」。言い返したい言葉や感情をグッと内側に止めて、“あえて反応しない”選択をすることで、自分の心の波も落ち着いてきます。

感情をコントロールできる人は、怒りに巻き込まれず“冷静な観察者”でいられる人。怒る相手に対して、対等に怒り返すことは簡単だけど、それは結局、同じ土俵に立つことにもつながってしまいます。

共感を武器にする、ただし“感情”ではなく“立場”に

「そんなに怒らないでほしい」と思っても、直接それを伝えるのはなかなか難しいですよね。そんな時に使えるのが、“感情”に共感するのではなく、“立場”に共感するという技術です。

たとえば、相手が業務の遅れに対して苛立っていた場合。「そんなに怒らなくても…」ではなく、「納期が迫っているからご不安なのかもしれませんね。どの部分を最優先で対応したら良いですか?」と、相手の状況を理解していることを伝えると、感情的な反応が少し落ち着くことがあります。

これは「あなたの怒りを正当化します」という意味ではなく、「あなたの立場や状況は理解していますよ」と示すことで、防御的な反応を和らげるアプローチ。もちろん万能ではありませんが、怒りのボルテージを下げる一つの手段として効果的です。

“対策”より“準備”。怒りに備える心の予防線

すぐ怒る人と接するとき、毎回心が消耗しているとしたら、それは“構え”が足りていないのかもしれません。つまり、いきなり雷が落ちたように感じるのは、心のどこかで「今回は大丈夫かも」と思っているから。

私が実践しているのは、“今日も来るかもしれないな”という心構えをあらかじめ持っておくこと。期待しない、でも冷たくしない。このスタンスが、意外と心の負荷を減らしてくれるんです。

さらに、自分の心が疲れている時ほど「巻き込まれやすい」ので、なるべくコンディションを整えることも大切。ちゃんと眠る、栄養をとる、少しでも一人になれる時間を確保する。こうした日常のケアこそ、感情に振り回されない土台になります。

おわりに:怒る人とどう共存するか

すぐ怒る人を変えることは、正直、ほとんど不可能です。でも、こちら側の“受け止め方”や“反応の仕方”を調整することはできる。無理に仲良くしようとせず、でも感情に飲み込まれないように距離をとる。このバランスがとても大事なんだと思います。

そして何より、自分の感情を後回しにしないこと。相手の機嫌に振り回されて、自分の中に溜め込んでしまうと、別の場面でその疲れが一気に噴き出してしまいます。だからこそ、静かに境界線を引きながら、健やかな距離感を築いていく。そんな柔らかくて強いコミュニケーションを、これからも大切にしていきたいですね。

“自分を守ることは、わがままではなく、成熟した優しさ。”

― 対人ストレスと上手につき合うために

参考:NHKハートネット「怒りの背景にある感情を知る」

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