毎年、夏が本格的に始まると、どこからともなく聞こえてくるセミの大合唱。今年も例年通り「暑くなってきたなあ」と思っていたのですが、ある朝ふと気づいたんです。「あれ? なんか静かじゃない…?」と。

昨年までは、窓を開けた瞬間にセミの鳴き声が押し寄せてきたのに、今年は耳をすませてもなかなか聞こえない。自分が年齢を重ねて、音に対する感覚が変わったのかと思ったりもしたのですが、周囲の友人たちも同じことを言っていて。「今年、蝉少なくない?」という声があちこちで聞かれるようになったんです。

気のせいなのか、それとも本当に何かが起きているのか。ちょっと気になって調べてみたら、どうやら今年の“静かな夏”にはちゃんと理由があるようなんです。

今年の夏、セミが鳴かない理由

1. 梅雨明けが早すぎたことでセミのタイミングがずれた?

まず、大きな要因のひとつが「気候の変化」。今年は全国的に梅雨が短く、あっという間に梅雨明けしてしまいましたよね。セミにとっては、この“梅雨明け後の湿度と気温の変化”が羽化のタイミングの合図になるそうで、それがうまく働かなかった可能性があると専門家は指摘しています。

例えば、セミは地中で数年を過ごしたあと、「地温が20℃以上になる日が続いたら地表に出てくる」と言われているんです。でも今年は、その“20℃ライン”を通り越して、いきなり35℃超えの猛暑が続いてしまった。そんな気候の急変が、セミたちを戸惑わせているのかもしれません。

「今年の羽化は例年に比べて遅れている」と話す昆虫学者も。特に西日本ではセミの姿がほとんど確認されていない地域もあるそう。

TBS NEWS DIG

2. 暑すぎて鳴けない?セミにも“熱中症”があるらしい

もうひとつ注目されているのが、「暑すぎてセミが鳴けない」という現象。これは意外でしたが、実はセミにとっても高温はかなりのストレスになるそうで、35℃を超える日が続くと、木陰などにじっとして鳴くのを控える傾向があるとのこと。

人間でさえぐったりしてしまうような暑さの日中に、セミが元気よく鳴き続けるのは無理があるのかもしれませんね。とくに都市部はコンクリートやアスファルトによる“ヒートアイランド現象”があるので、セミにとっては本当に過酷な環境になっているのだと思います。

セミは気温35℃を超えると活動量が下がるだけでなく、寿命そのものも縮まるという研究結果も。

note: セミが鳴かない2025年

3. 地中での成長段階で何かが起きていた?

セミって、実は地中で過ごす時間の方が圧倒的に長くて、種類によっては6〜7年も土の中にいるんです。その間に栄養を蓄えたり、成長したりして、ある夏の日にようやく地上に出てきて鳴く…というわけなのですが、もしこの数年間に異常気象や環境の変化が続いていたら?

土の中の状態が安定していないと、セミの成長にも影響が出るそうです。たとえば、大雨が続けば幼虫が流されてしまうし、土壌が乾燥しすぎると必要な栄養が取れずに成長できない。つまり、今年「セミがいない」と感じるのは、数年前の異常気象の積み重ねの結果かもしれないのです。

4. 都市化で「羽化できない場所」が増えている

私たちの暮らしも、このセミ問題と無関係ではありません。近年は住宅の密集や再開発によって、土のある場所が本当に少なくなりました。コンクリートやアスファルトに囲まれてしまった公園では、セミが羽化するための「柔らかい土壌」がなくなってしまっているのだとか。

さらに、公園の整備が進んで清潔に保たれている反面、雑草や枯葉のある“自然な状態”が減っていて、そこに生息していた昆虫たちの環境も変化しているんですね。特にセミのような「ある程度の自然環境」が必要な生き物にとっては、こうした変化がじわじわと効いてきているのかもしれません。

「静かな夏」はこれからのスタンダードになる?

セミが鳴かない夏。なんだかちょっと物足りないような、でも、涼しさを感じるような…。でも、この“静けさ”が異常気象や都市化の象徴だと思うと、ちょっと胸がざわつきますよね。

今後、専門家たちは「セミの出現パターンは年によって大きく変わるようになる」と見ていて、特にここ数年は、鳴く年・鳴かない年の差が激しくなるかもしれないと指摘しています。

「今年はたまたま少ないだけ」「そのうちまた戻るよ」と思いたい気持ちもありますが、セミの成長サイクルは長く、今起きていることは数年後の夏にもつながっている。だからこそ、今の自然の変化にちゃんと目を向けることが大切なんじゃないかなと感じています。

今、私たちにできること

この問題は、地球規模の気候変動や都市の在り方にも関わってくる大きなテーマ。でも、私たちの毎日の選択の中にも、小さな気づきや変化はあるはず。

例えば、家の周りにある木や草むらをちょっと気にかけてみる。公園で土に触れる時間を作ってみる。そんな小さな行動が、自然との距離を少しだけ近づけてくれる気がしています。

セミが鳴く夏が戻るかどうか、それは誰にもわからない。でも、私たちがその“音のない違和感”にちゃんと気づけたこと、それ自体が、今の時代にとってすごく大事なことなんじゃないかと思うんです。

次の夏、またあの懐かしい鳴き声が聞こえてくるように。そんな願いを込めて、今年の“静かな夏”を、少し丁寧に過ごしてみようと思います。

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